進化する特殊詐欺の手口10種類。カードや女性紹介も詐欺のツールに

「振り込め詐欺は、ご存じですか?」と尋ねれば、おそらくほとんどの人が「ああ、息子になりすました人物が、高齢の親に電話をかけて、お金を騙しとる詐欺のことだよね」と答えられるのではないでしょうか。

「振り込め詐欺」の巧妙な手口

この言葉を知らない人はまずいません。しかしながら、被害に遭う人は後を絶たちません。なぜなのでしょうか? それは詐欺の手口を知っているようで、知らないことが多くあるからです。

確かに息子になりすまして騙(だま)す手口は、警察が定める「振り込め詐欺」の範疇に入ります。が、これは正確にいうと息子などになりすまして騙す「オレオレ詐欺」です。

振り込め詐欺にはこのほか、ハガキやメールで嘘の料金を請求する「架空請求詐欺」や、市役所職員などになりすまして、「払いすぎた保険料を戻しますから」とATMに誘導して、言葉巧みに金を振り込ませてしまう「還付金詐欺」、「お金を貸すためには、事前に保証金を納めて頂く必要があります」と言って騙す「融資保証詐欺」もあります。

「特殊詐欺」はどんな手法を指すのか

では「特殊詐欺とは?」と聞かれると、はっきりと答えられる人はグッと減るに違いありません。これは組織的な犯罪グループが嘘の電話をかけたり、架空請求のハガキなどを送り付けるといった方法で詐欺を仕掛けて、お金を騙しとる犯罪のことで、このなかにも振り込め詐欺は含まれます。

なぜ特殊詐欺と呼ばれるようになったのかといえば、詐欺というものが、世の中の事情に合わせて常に変化していくものだからです。

昔は、オレオレ詐欺や還付金詐欺などが猛威を振るっていましたが、時の流れとともに、手口はバージョンアップしていくもの。そのため、かつて振り込め詐欺とされた4つのカテゴリーでは収まり切れなくなったため、この言葉が生まれました。

特殊詐欺には、振り込め詐欺のほか、「金融商品詐欺」という「未公開株があり、まもなく上場するから儲かる」と嘘をいって購入代金を騙しとる手法もあります。

また「パチンコで必ず勝てる打ち子を募集します」といって、情報料金などを騙しとる「ギャンブル詐欺」、「素敵な女性を紹介します」といって登録料金や保証金を要求する「交際あっせん詐欺」、そしてこれらの手口にあてはまらない「その他の特殊詐欺」が加えられて、8つの類型があります。

「受け子」の登場は衝撃だった

特殊詐欺は進化の過程で大きなパラダイムチェンジを2回しました。そのひとつが「受け子」という存在を使っての詐欺です。

「『振り込め』と言われたら、詐欺!」との注意が徹底されて、ATMからの振り込みが難しくなりました。しかも、詐欺に使われた口座だとわかると、すぐに凍結されます。すると、詐欺犯は直接家を訪れてお金を受け取るようになります。

今では当たり前の手口でも、出てきた当時は衝撃的でした。

というのも、それまでの詐欺は、電話でやりとりして、ATMから入金させるという詐欺犯とは対面しない形だったからです。ところが、「受け子」が家にやってくることで、被害者は詐欺犯と対面します。つまり、ここで非対面から対面式へのパラダイムチェンジが起きたのです。

キャッシュカードが狙われるように

もうひとつは、キャッシュカードを騙し取る手口の登場です。

詐欺犯がATMを使わず、受け子を家に向かわせる形が主流になると、注意喚起も変わります。「お金の言葉が出てきたら、詐欺!」との警戒が呼び掛けられます。すると詐欺犯らも知恵を回して、被害者にお金は用意させずにキャッシュカードを騙しとり始めたのです。

手口は次のようなものです。詐欺犯が警察官を装い、電話を掛けます。

「もしもし、〇〇警察書の山田という者ですが、Aさんのお電話でお間違いなかったでしょうか? 実は、詐欺グループを逮捕したところ、あなたの口座が、犯人に悪用されていることがわかりました。このままだと、あなた自身も詐欺犯の一員とみなされて、逮捕されてしまいます。今から警察官が自宅に伺い、キャッシュカードを不正使用されないように手続きをしますので、お手もとにカードを準備してお待ちください」

そして被害者宅にスーツを着た刑事風の人物が来て、「キャッシュカードの不正防止の手続きで伺いました」と言いつつ、家人に「封筒」と「一枚の紙」を手渡します。

事前に用意したものにすり替える

「こちらの封筒にお持ちのキャッシュカードと暗証番号を書いた紙を入れて、手続きが終了するまで厳重に家で保管しておいてください」

指示通り、家人は封筒にカードと暗証番号を書いた紙を入れて封をします。すると詐欺犯は確認するフリをして、封筒を受け取ります。

「それでは次に、この封の部分に割り印を押してください。印鑑はありますか?」

家人が印鑑を取りにその場を離れた隙に、事前に用意していたトランプやダミーのカードの入った別の封筒にすり替えてしまうのです。

現金を騙し取る件数を上回る被害が

しかし家人はそれを知りませんので、戻ってきて封の部分に印鑑を押して、偽の封筒をずっと家で保管しておくことになります。その間に犯人らは、手に入れたキャッシュカードでATMからお金を引き出します。特殊詐欺では、これを「キャッシュカード詐欺盗」と呼びます。

またカードを騙しとる手口には、もうひとつ「預貯金詐欺」というものもあります。昨年多く発生した「令和への改元になりましたので、これまでのお持ちの平成の古いキャッシュカードは使えませんので、交換しなければなりません」と嘘をついて、カードを持って行く手口がまさに当てはまります。

現在の特殊詐欺は、先に紹介した8つに加えてキャッシュカード詐欺盗、預貯金詐欺を加えて10の類型になっています。

令和元年の特殊詐欺の認知件数は16851件ですが、そのうち、キャッシュカード詐欺盗と預貯金詐欺を合わせると、特殊詐欺全体の認知件数の54.2%となり、現金を騙しとる手口よりも多くなっています。

いたちごっこは今後も続いていく

振り込め詐欺から、大きな括りの特殊詐欺への名称変更。さらに特殊詐欺にカテゴリーが追加されるといった変遷から見ても、今後も、新たな手口が出てくることでしょう。

ここからわかることは、詐欺への対策や、ある手口への警戒感が広がり始めると、やり方を少しだけスライドさせて、私たちを惑そうとしてきます。そしてある時期に大きなパラダイムチェンジをして、詐欺を一気に広げてくるのです。このループによって、今もなお多くの人が騙され続けています。

詐欺対策や常識が、必ずしも明日も使えるものとは限らないかもしれません。だからこそ現在「どんな手口が時流にのって横行しているのか」という警戒を緩めてはならないのです。

<TEXT/悪徳商法ジャーナリスト 多田文明>
引用先:bizSPA!フレッシュ
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